飛ばすぜ


実況「さあ、やってまいりました、第1回、チキチキカウンタウエイト飛ばし競〜技!!
全日本車輪選手権でおなじみの実況わたくしと」
解説「解説わたくしでお送りします。よろしくお願いします。」

実況「さあ、まだ日本ではなじみの薄いこの競技ですが、内容を説明して頂けますか?」
解説「はい、この競技にはまず SENNEBOGEN 5500 Star-Lifterを用意します。」
実況「クレーンはフル装備状態ですね?」
解説「はい、ワイヤー地獄の中 必死に組み立ててフル装備にしておく必要があります。
大変ですが、記録のためには欠かせない努力です。」

実況「日頃のトレーニングが重要なわけですね。」
解説「もう一つ用意するのは上着です。着替えの時にその袖で一気にクレーンをなぎ倒して
カウンタウエイトがどこまで飛ぶかを競うわけです。」

実況「ペットボトルは何に使うのですか?」
解説「あ、あれはのどが渇いたときに飲むんですね。」
実況「なるほど、よく分かりました。
ところで良い記録を生むためのポイントはどこでしょう?」

解説「最も大切なのはやはりカウンタウエイトですね。
より良く飛ぶようにキュキュキュッと磨いておく必要があります。」

実況「その他には?」
解説「メインブームとラフィングジブの角度にも気を配る必要があります。
ここの角度が記録に大きく影響を与えますので、入念な調整が必要ですね。」

実況「さあ、それでは知欠ジョー選手の演技開始です」。

ジョー「うぉ〜りゃ〜!!」

実況「ジョー選手、気合いと共に上着の袖でクレーンをなぎ倒しました。」


実況「さあ、こちらがジョー選手の演技終了直後の様子です。」
解説「普段の撮影で使っているボール紙の上にキレイに横倒しになってます。
全長約130cm(実機で65m)ですから迫力ですね。」

実況「まず、本体の具合はどうでしょう。」
解説「完全に横倒しですね。いい感じです。この状態でクローラの幅が13cm(6.5m)になりますから2階建てのビルくらいになりますね。」
実況「やあビル、元気かい?今日はトムと一緒じゃないのかい?」
解説「そのビルじゃないですよ。」

実況「こちらはラフィングジブのワイヤーです」
解説「見事にからまってますね。これをどう修復するかも競技終了後の見どころになります。」
実況「なるほど、考えただけでぞっとしますね。」

解説「まったくです。」

実況「さあ、肝心のカウンタウエイトの状況です。10個あるウエイトのほとんどはほぼ横一線ですが、1つだけ遠くまで届いてますね。」
解説「この競技は最も遠くまで飛んだウエイトを計測しますので、いい形ですね。」
実況「これは好記録が期待できそうです。」

実況「気になる記録は...。」
解説「65cm!!し、新記録、新記録です!!」
実況「かつてない素晴らしい記録が誕生しましたね。」
解説「ジョー選手、観客の歓声にガッツポーズで答えています。」

実況「ジョー選手、みごと一位を獲得しました。」
解説「今、シャンパンシャワーを浴びています。嬉しそうですね。」
実況「それではインタビューしてみましょう。ジョー選手、今の感想を一言。」
ジョー「いやー、最近確かに調子は良かったんですが、ここまで記録が伸びるとは、私も驚きです。」
実況「この喜びをどなたに伝えたいですか?」
ジョー「やっぱり今まで応援してくださった皆さんに。ありがと〜。」
実況「ジョー選手、ヨロコビのウイニングランに出発しました。」

実況「では チキチキ カウンタウエイト飛ばし競技、そろそろこのへんでお別れです。」
解説「また次回をお楽しみに。」


21世紀のスポーツ、カウンタウエイト飛ばし競技。
目指せ、次期オリンピック。競技人口はまだひとりだけだ。