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ハカセジョーの実験室


カメラについて2

カメラの位置が決まったら次はカメラの設定ぢゃ。項目別に書いてみるぞい。

■フラッシュは使わない

まず基本中の基本として、フラッシュは使わないのが大原則ぢゃ。フラッシュの光は数メートル離れた人物を写すくらいのパワーがあるんで模型撮影には強すぎるし、正面から光るんで模型の各部がノッペリと平面的に写ってしまう。せっかく逆光気味にセッティングしたスタジオの照明も台無しにしてしまうんぢゃ。

フラッシュ撮影した画像ぢゃ。ホイールの部分は光の反射が強すぎて完全に真っ白けになっちょる(この真っ白けを「白飛び」と言うんぢゃ)。ボディサイドのパネルもノッペリで、後部の赤いリフトは形がよくわからん位に平面的になっておる。知欠ジョーが伝家の画像処理で必死こいて調整したが、元がちゃんとしとらんからこれが限界ぢゃ。

■セルフタイマーを使う

後で述べるように、模型撮影はシャッタースピードがかなり遅くなる。したがって手ブレせんようにカメラを三脚などに固定するんぢゃが、実はシャッターボタンを押す動作もカメラに対して力が加わるので、画像がぶれてしまう原因となる。それを防ぐために必ずセルフタイマーを使うんぢゃ。ボタンを押して数秒後にシャッターが切れる。その数秒間はカメラに一切触れないで息を止めるくらいの気合いが必要ぢゃ#息は止めんでもよろしい。

■カメラは望遠に設定する

カメラについて1でも書いたがカメラは望遠側で写すのが基本ぢゃ。カメラを望遠にしてちょうど模型全体が写るように、カメラの前後位置を調整するんぢゃ。

なぜ望遠で写すのか? その理由ぢゃが、逆の広角側で写すと模型のすぐ近くから写すことになるんで模型に遠近(パース)が大きく付いてしまう。つまりカメラに近い部分がより大きく、遠い部分がより小さく写るんぢゃ。これは迫力があって良いんぢゃが、大きな歪みが生じるということでもあるのう。

ホームページに模型の画像を載せるということは、「こんな形の模型ですよ」と紹介することでもあるからして、歪みが大きすぎるのは実は問題ぢゃ。例えば、斜め前方から写した写真で前輪と後輪が同じ大きさなのかどうか分からなくなる なんてことが起きるぞい。つまり模型のプロポーションを正確に伝えるには、歪みの少ない望遠側で写す必要があるということなんぢゃ。

こっちは広角側で写した画像ぢゃ。模型との距離は約15cmぢゃ。迫力はあるが、歪みが大きいのう。後部のリフトの大きさとか、模型の高さと長さの割合とかが分かりづらいぞい。2軸車なら前後の車輪の大きさも分かりづらいくなるのう。つまり画像を見る側が混乱してしまうんぢゃ。
こっちは望遠側で写した画像ぢゃ。模型の大きさが同じくらいに写るようにカメラを後ろに動かしておる。模型との距離は約50cmぢゃ。迫力は少なくなるが、模型のプロポーションが正確に伝わってくるのう。

このことを踏まえた上でなら、基本は望遠で撮り、ポイントになる部分はググッと広角で撮って迫力を出す、という感じでメリハリを付けるのもアリぢゃ。望遠で撮る部分、広角で撮る部分をきちんと分けて考えるのぢゃ。

■絞りは一番絞る

望遠側で写すことでプロポーションは正確になるが、困った副作用が1つあるんぢゃ。それは「前後方向でピントが合う範囲が狭くなる」ということぢゃ。これはカメラの特性として仕方の無い事なんぢゃが、特に長いトレーラーなどを前から写した時などは、運転席にはピントが合っとるがトレーラー後部はボケボケ なんてことがよくあるんぢゃ。

これを防ぐ方法としては、絞りを絞るのが有効ぢゃ。絞りというのはもともと目を細めるようにしてカメラに入る光の量を減らす仕組みの事ぢゃが、ピントが合う範囲を調整する働きもあるんぢゃ。絞りの状態は "F2.0"とかいう数字で表されて、数字が大きくなる程絞った状態になってピントが合う範囲が広がるんぢゃ。マニュアル撮影ができるカメラならとりあえず一番絞るのが基本ぢゃ。

こっちは絞りを空けた画像ぢゃ。トレーラー中央の木板の部分はピントが合ってはっきり写っとるが、後端部分はナンバープレートが読めない程にボケボケぢゃ
こっちは絞りを最も絞った画像ぢゃ。知欠ジョーのカメラでは"F8.0"ぢゃ。画像がJPEGなんでチト荒くなっとるが、ナンバープレートが読めるようになっとる。ピントが合う範囲が広がった証拠ぢゃ。

この性質を逆利用して、わざと絞りを空けて一部分のみをハッキリ写して他をボカす という技もあるぞい。人物写真なんかでよく使われるのう。これも「絞りは一番絞る」という基本を踏まえて、その上で成り立つ技ぢゃな。

明るさはシャッタースピードで調整

スタジオを使った模型撮影は屋外の直射日光の下でやる物ではないから、屋外よりも暗くなるのは当然ぢゃ。さらに望遠では狭い領域を写すのぢゃからカメラに入ってくる光の量が減り、また絞りを絞るんでますます光の量が減る。もう減りっぱなしぢゃ。

したがってそれをカバーする方法としてシャッタースピードを遅くするんぢゃ。そうすると画面が明るくなるんぢゃ。シャッタースピードはシャッターが開いとる時間を秒数で表しとる。屋外では 1/500秒とかで撮ることもあるが、スタジオでは0.3秒とか、長い場合は4秒とか、かな〜り遅くなる。

単純に絞りを絞った状態。かなり暗い画像になってしまっておる。画像処理である程度は補正できるが、ホントなら最初から適切な明るさの画像が撮れればそれが一番ぢゃ。
シャッタースピードを適切に遅くした画像。スタジオの照明の位置や明るさや、さらに模型の色によってどんなスピードが最適かは変わってくる。その求め方は次に説明するぞい。

絞りとシャッタースピードの関係

絞りを絞ると暗くなり、シャッタースピードを遅くすると明るくなる。てことは画像の明るさには絞りとシャッタースピードの両方が関係しとるということぢゃ。

ではどんな絞り値とシャッタースピードがベストなのか? 絞り優先モードが付いとるカメラならそれを使うのが1つの手じゃな。上に書いたように絞りは一番絞るのが基本ぢゃから、絞り優先モードで絞りを一番絞った値に設定すれば、シャッタースピードはカメラが決めてくれるぞい。

でもそれだとイマイチうまく行かないときはど〜するんか? 絞りとシャッタースピードの計算式とかもあるそうぢゃが、ワシはほら、計算は専門ぢゃないからアレぢゃ、えーと、あのー、.........と、とにかく、『絞りを1段絞ったら、シャッタースピードを1段遅くする』。これぢゃ、これこそがすべてを解決するんぢゃ。

知欠ジョーが使っとるカメラは絞りが9段階、シャッタースピードが46段階で調整できる。いったんオートモードでテスト撮影してみてちょうどイイ明るさで写せた時、例えば絞りが5段階目、シャッタースピードが20段目ぢゃったとしよう。この場合、絞りを絞りきるまであと4段階あるから、マニュアルモードに切り替えて絞りを絞りきり、シャッタースピードは4段階遅くして16段目にするんぢゃ。こうすると画像の明るさはさっきとちょうど同じになるんぢゃ。

実際には露出補正とか ISO感度とか言う難しい設定がからんでくるんで同じにならん場合もあるが、それでもシャッタースピードを少し調整すればOKになるはずぢゃ。テスト撮影と画像確認を繰り返してちょうどイイ明るさを見つけるんぢゃぞい。

また、絞り優先モードやマニュアルモードがないカメラでは絞りとシャッタースピードを直接調整することはできんが、例えば「風景撮影モード」とか「夜景撮影モード」とかが付いておればそれで代用することも可能なんぢゃ。これらのモードは実は絞りを絞ったり、シャッタースピードを遅くするモードぢゃからぢゃ。繰り返しになるがフラッシュは切っとくんぢゃぞい。今持ってるカメラの性能をしゃぶりつくす位の勢いであれこれ試してみると、意外な発見があると思うぞい。

画像の確認

最後に撮影した画像の確認ぢゃ。デジカメは撮ったらその場で画像が確認できるのう。そこでブレや極端に明るい/暗いなどの明らかな失敗があったら、カメラ内ですぐに削除するんぢゃ。こうする事でムダな画像が残る事が無くなり、以下のようなメリットが出るぞい。

  • デジカメのメモリーの空き容量が増える
  • パソコンへの転送時間とハードディスクの容量が節約される。
  • 不要な画像が少なくなるので、画像の検索、管理がしやすくなる。

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以上、カメラの位置と設定について解説してきたが、デジカメは気軽に撮れて現像代もかからんから、色んな設定であれこれと「遊んでみる」のが上達の近道ぢゃと思うんぢゃ。知欠ジョーのヤツもワシから見ればまだまだ修行中の身ぢゃ。新しい発見があったらまた報告すると言っておるぞい。

次はいよいよ実際の撮影作業ぢゃ。まずはサンプルを使ってやり方を解説するぞい。